映画の感想

『水戸黄門』(松田定次)

1960年。1960年8月7日公開。夏休み映画ですかね。水戸黄門が江戸府内の不審火に、幕府転覆の陰謀があると見て、お忍びで庶民の居酒屋に行って浪人・井戸甚左衛門(大友柳太朗)の浪人を退治する。息子(養子)の2代目水戸藩主・水戸中将綱条(大川橋蔵)も…

『勢揃い東海道』(松田定次)

1963年。1963年1月3日公開。まぁ正月映画ですね。縄張りを巡っての争いから、荒神山で吉良の仁吉(大川橋蔵)が撃たれる。妻の父(義父)が悪者の安濃徳(山形勲)の人、という設定で、次郎長(片岡千恵蔵)は敵討ちに行って、山岡鉄太郎(市川右太衛門)に…

『曾我兄弟 富士の夜襲』(佐々木康)

1956年。10月公開。鎌倉時代の曽我兄弟の仇討ちの話なんだけど、あまりくわしい内容は知らなかったし、いつもの東映大通りっぽいところがなくてけっこうロケしてるのが面白いです。背景に富士は置いてあるけど、ロケ地は富士の裾野じゃないし、曽我兄弟(東…

『壮烈新選組 幕末の動乱』(佐々木康)

1960年。7月公開の夏休み映画。幕末、近藤勇の新選組結成から池田屋事件・芹沢鴨と伊東甲子太郎の暗殺をはさんで、長州の武士・但馬織之助(大川橋蔵)とその友人・前畑三十郎(徳大寺伸)との友情・裏切り、それに京都の舞妓とかが絡んで、けっこう楽しい話…

『水戸黄門 天下の副将軍』(松田定次)

1959年。将軍にご意見する水戸光圀が町の銭湯で仕入れてきた噂は、自分の子供である高松藩主・松平頼常のご乱心の話。真実を確かめようと、町人のご隠居とその供に扮して高松まで行く一同。忍者とか、旅の途中で出会う町娘とか山賊とかもある。けっこう90分…

『きさらぎ無双剣』(佐々木康)

1962年。1962年の4月、春映画。徳川吉宗の時代、世を乱して吉宗の引退を図る尾張藩の人たち&悪いほうの老中に対し、殿様だけど剣の達人で吉宗と仲良しの竜胆月之介(播州三日月藩主森安芸守長記)が、町道場の道場主・立花隼人正やその弟子で酒癖が悪い元・…

『赤穂浪士』(松田定次)

1961年。1961年の正月映画っぽいけど、3月28日(春休み?)に公開された時代劇映画。赤穂の城代家老・大石内蔵助と、米沢藩上杉家の家老・千坂兵部が、山鹿流の同じ師匠に習った中年友達、という設定が新しいけど、基本に忠実なうえ東映時代劇の、歌舞伎とも…

『レ・ミゼラブル』(トム・フーパー)

2012年。ミュージカルを映画化したもので、みんな歌うんだけれど、これ、歌う意味あるのか、とか、いろいろ謎映画だった。コゼットの恋愛部分とか独自解釈・設定もありすぎて、それが話を面白くしているようにも思えない。そもそも、『レ・ミゼラブル』の映…

『わが恋せし乙女』(木下惠介)

1945年。浅間山の下の牧場で捨て子として育った妹と、戦争から帰ってきた兄。血が繋がっていないので結婚相手と思う兄だが、妹には足の不自由な恋人がいて…。びっこの恋人に「あの人はカタワでも、心は誰よりもまっすぐな人」とか言ったりしてたまげる。木下…

『歓呼の町』(木下惠介)

1944年。町内で疎開が進められている、大田区っぽい一角。残っているのは飛行機の実験飛行を職にしている息子がいる琴の師匠の母(旦那は半端な仕事しかできないため半ば離婚状態)、子だくさんの印刷業者、風呂屋、町内会長(娘は恋愛中)といった町内の家…

『昭和残侠伝 一匹狼』(石井輝男)

1966年。第3作。昭和のはじめ。浅草の親分を斬られた高倉健が、越谷の女郎屋に勤めていた銚子の親分の娘を助けて漁港に行ったら、そこに親分を斬った池辺良がいて、悪い親分の世話になっていて、その妹が飲み屋をやっていて、あと芝居小屋と一座があって、と…

『網走番外地』(石井輝男)

1965年。北の果て・網走刑務所に送られた囚人の中にヤクザの高倉健がいて、母と妹のために模範囚として出獄を待つ日々だったが、野外作業のトラックから相棒が脱出したため、鎖でつながれたまま一緒に逃避行をするはめに。北海道の冬景色が美しくて寂しくて…

『帰って来たヨッパライ』(大島渚)

1968年。朝鮮(韓国)から密入国してきた人にフォーク・クルセイダーズの3人がからんで、夢と幻想を行き来する、反戦とか国のアイデンティティとかいろいろ考えられさせる難解映画で、なんで普通にアイドル娯楽映画っぽく撮れなかったのか謎の映画。話は何…

『あゝ決戦航空隊』(山下耕作)

1972年。海軍特別攻撃隊を創設し、終戦後切腹した大西瀧次郎中将をほぼ主役にした長い話。戦闘機は人間とのからみでは作りものだし、空中戦はプラモデルなんで、今だったらもう少し特殊技術いろいろ使えたろうと思う。単なる特攻の話かと思ったら、本土防衛…

『みんな〜やってるか!』(北野武)

1995年。第一回ビートたけし監督作品ということで、女にもてたい、金が欲しい、という青年の欲望の方向をどんどん妄想で埋めていったらどうなるか、という、なんかチラシズシというか幕の内弁当みたいな話だった。ヤクザの殺し合いはともかく、ハエ男でSF…

『3-4x10月』(北野武)

1990年。野球をやってもガソリンスタンドのバイトをやってもダメな青年が、ヤクザに絡まれて、飲み屋の兄貴(元極道)に助けられ、いろいろ揉めて沖縄まで銃を買いに行く。沖縄でも揉めているヤクザ(ビートたけし)がいて、こちらのほうはいろいろあって殺…

『明日に向って撃て!』(ジョージ・ロイ・ヒル)

1969年。伝説の強盗団を率いて活躍したブッチ・キャシディとその相棒で拳銃の名手サンダンス・キッド、及び愛人のエッタの逃げ回る西部劇映画。主人公たちが追う側ではなくて逃げる側の話は初めてなのでは、という話の通り、途中延々と、指輪物語の悪い騎士…

『生きてゐる孫六』(木下惠介)

1943年。先祖代々の因習に捕われて鍬を入れることが出来ない小名木原(浜松・三方原の一部?)に、「鍬の力は国の力」ということで食糧増産のための開墾が行われる。小名木家の当主の病状を見た軍医と娘が結婚して、小名木家の召使の息子と鍛冶屋の娘が結婚…

『日本の悲劇』(木下惠介)

1953年。戦争中に夫を亡くした母親が、闇屋や熱海の女給(女中)をしながら娘と息子を育てる。娘は洋裁学校と英語の塾に通いながら、塾の先生と浮気して(というより、母親から逃げるために)岡山に行き、息子は医学部に通って開業医になるために子供のない…

『丹下左膳余話 百萬両の壺』(山中貞雄)

1935年。百万両の宝のあり場所が隠されているという「こけ猿」の壷(マクガフィン)を巡って、関係者がやりとりをする、とか、丹下左膳が血の雨を降らす、とかそんなの全然なくて、金魚釣ったり的に矢を当てたり、的屋(っていうのかな)の女主人が三味線を…

『姿三四郎』(岡本喜八)

1977年。岡本喜八。姿三四郎の役を三浦友和がやる。黒澤明の作品にあるところとないところがあって、これも田中邦衛の無駄遣い映画なんだけど、「続」も一緒にやるとは思わなかったよ。仲代達矢の矢野正五郎、凛としていて格好いいし、中村敦夫の檜垣源之助…

『ダイナマイトどんどん』(岡本喜八)

1978年。昭和25年北九州。ヤクザの抗争にうんざりした組と警察署長との申し合わせで、抗争は休戦、親善のための野球大会をすることになるが、ヤクザなんで試合そのものが殺伐としたものに、みたいな話。この時の試合の球は、多分『英霊たちの応援歌 最後の早…

『激動の昭和史 沖縄決戦』(岡本喜八)

1971年。第二次大戦中の沖縄戦を、日本軍の視点、牛島満中将・八原博通高級参謀・長勇参謀長を中心にして描く。とはいっても登場人物が多いし、映像として見せたいシーンも多数あるため、それ以外の局地戦・民衆の動きなどもものすごく沢山入れてある。予算…

『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』(佐伯清)

1966年1月13日公開。昭和残侠伝シリーズ第二作。昭和初期の宇都宮、石切場の人足手配をしている榊組の親分斬った高倉健が、悪いほうの親分・左右田組を斬る。東映臭がすごくするセットと、昭和30年代っぽさがする石切場とでうまく場面を作ってます。しかしま…

『昭和残侠伝』(佐伯清)

1965年10月1日公開。昭和残侠伝シリーズ第一作。戦後間もない、闇市の時代。浅草のテキ屋・関東神津組の跡目を継いだ誠二が、新誠会という戦後幅を利かせてきた新生ヤクザと縄張りを競う。露天市からマーケットにしようと作り変えているところに火をつけられ…

『にっぽん三銃士 博多帯しめ一本どっこの巻』(岡本喜八)

1973。東京を逃げてきた3人(戦前・戦中・戦後派)の三銃士が、博多のボロ街で偽ビールを作るという、戦後すぐの時代みたいな商売の手伝いをして、ヤクザや土地の買い占め・工場建設(パンティストッキングの工場のフリした兵器工場)のドタバタに巻き込ま…

『にっぽん三銃士 おさらば東京の巻』(岡本喜八)

1972。業界紙(ハイヤー・タクシー業界)の名ばかり編集局長・戦前派48歳、大学病院の精神科医・戦中派36歳、一流会社の新人サラリーマン・戦後派24歳が、デモと騒乱の中で家と職場を失い、放浪の旅に出る、という、物語としては冒頭編。酒場であまり関係の…

『菊次郎の夏』(北野武)

1999。浅草にお婆ちゃんと一緒に住む正男が、夏休みにどこにも行けないので、菊次郎という中年の不良と一緒に、田舎(豊橋)に住んでいるという母親を訪ねるというロード・ムービー映画。競輪とか河原のキャンプ&遊びとか、とにかく無駄が多い映画なんです…

『キッズ・リターン』(北野武)

1996。中の下の東京近郊の男子校を卒業した男子それぞれの実生活と、ボクサーとヤクザを目指す仲のいい二人を描いた青春映画。ものすごく青春で、ボクシングのシーンすごいです。映画としてのメイン・ストーリー以外のサブの話の入れ具合とかにセンスを感じ…

『ロックアウト』(ジェームズ・マザー+スティーブン・レジャー)

2012。リュック・ベンソン製作の、『フィフス・エレメント』(1997)以来のSF映画らしい。未来の囚人監獄衛星に、大統領の娘の救出と自分の無実を証明する証拠(証人)を確保するために向かうスノー。あまり期待しないで見に行ったら、期待通りの出来で呆…