『明日に向って撃て!』(ジョージ・ロイ・ヒル)

1969年。伝説の強盗団を率いて活躍したブッチ・キャシディとその相棒で拳銃の名手サンダンス・キッド、及び愛人のエッタの逃げ回る西部劇映画。主人公たちが追う側ではなくて逃げる側の話は初めてなのでは、という話の通り、途中延々と、指輪物語の悪い騎士みたいな、顔の見えない馬集団に二人は追われまくり。10年前ならもう少し追う側のキャラ付けもしたかもしれないけど、ぜんぜんそういうのしてない。もう現役の強盗はしんどくなって、南米に行くことにするんだけど(途中に挟まるセピア色写真で語られるシーンと音楽がすばらしいです)、南米(ボリビア)でもお尋ね者になってしまう二人。本当、エッタいらないんじゃね? と思うしかない映画展開だった。ていうか、見終わって一週間ぐらいもすると、こんなヒロインいたっけ? ぐらいの感じ。話の内容は、どこがニューシネマなのか、二人が最後で死ぬところ以外は謎なくらい素敵にきれいで面白い映画だった。アメリカン・ニューシネマって「1960中ごろ〜70年代はじめの、主人公が最後で死ぬアメリカ映画」と漠然と俺の中では定義してるんだけど、なんか素晴らしく美しいもの沢山あって、もっといろいろ見たくなる。ジョージ・ロイ・ヒル監督そのものがまぁ、アメリカン・ニュー・シネマの文脈(血脈)で語られるだけの映画監督ではないことはありますが…。