『甦る『ゴンドラの唄』−「いのち短し、恋せよ、少女」の誕生と変容−』ほか

『甦る『ゴンドラの唄』−「いのち短し、恋せよ、少女」の誕生と変容−』(相沢直樹/新曜社/3360円)
「ゴンドラの唄」をご存じでしょうか。大正時代に一世を風靡した流行唄です。同じ頃にはやった『カチューシャの唄』に比べて、現在ではあまり知られていませんが、「いのち短し、恋せよ乙女」の歌詞を聴くと、ほとんどの人は、「ああ知っている、聞いたことがある」と反応します。本書は、この歌が、どのようにして誕生したか、作者は?など、誕生にまつわる話をさぐったあと、忘れられていたこの歌を戦後甦らせた黒澤明監督の映画『生きる』に、どういう経緯で主題歌として採用されたかなどを紹介します。さらに、この歌のことなどほとんど知らない現代の若い人たちが好むコミックや音楽にまで、「いのち短し、恋せよ乙女」のフレーズが使われている現状を紹介します。『その前夜』という新劇の劇中歌に使われたこの歌が、なぜいまなお歌い継がれているのか、その秘密をさぐる、学問的にも、読み物としても面白い一冊です。
 
創られたスサノオ神話 (中公叢書)

創られたスサノオ神話 (中公叢書)

『創られたスサノオ神話』(山口博/中央公論新社/1890円)
本来は出雲の農業神だったと考えられるスサノオ古事記日本書紀編纂の段階で、どのようにして荒ぶる神に仕立てられたのか?
 
江戸の名奉行 43人の実録列伝 (文春文庫)

江戸の名奉行 43人の実録列伝 (文春文庫)

『江戸の名奉行−43人の実録列伝−』(丹野顯/文藝春秋/700円)
時代小説ファン必携の名奉行列伝!大岡越前、遠山の金さん、鬼平……時代小説や時代劇で知られる名奉行たちの実像とは? 読んだらさらに時代小説が楽しめる一冊。
 『蒲生氏郷−おもひきや人の行方ぞ定めなき−』藤田達生/ミネルヴァ書房/2940円)
日野、松坂、そして会津若松……風雅を愛した猛将、その流転。

大正という時代

大正という時代

『大正という時代−「100年前」に日本の今を探る−』毎日新聞社/編/毎日新聞社/2520円)
いま、なぜ大正なのか。関東大震災、日本の中国進出、中国の反日、メディア社会・・・原武史森まゆみらが大正という時代に現代日本の原型を探る。