『プリニウスの博物誌 1(第1巻〜第6巻) 縮刷版』ほか

プリニウスの博物誌〈第1巻~第6巻〉

プリニウスの博物誌〈第1巻~第6巻〉

『プリニウスの博物誌 1(第1巻〜第6巻) 縮刷版』プリニウス/雄山閣/6510円)
「第1巻」―巻頭に、のちにローマ皇帝となったティトゥスに献じた序文、及び2巻以降の内容の目録と典拠作家の一覧。「第2巻」―宇宙の構成、諸惑星の運動、太陽、月、彗星、風、雷、地球、地震、島、湖、海、火山など、当時の学問の総まとめ。蝕による地球・月・太陽の大きさとその関係、惑星の運動、潮汐現象などの記述は相当水準が高い。また気象や天体の変化をどう占ったかなど興味深い知識に満ちている。「第3〜6巻」―西はスペインから地中海周辺、北はイギリス、南はナイル上流、東は黒海カスピ海周辺、中央アジア、アラビア、ペルシャ、インド、中国に及ぶ広範囲な地域の、都市、種族、山、河、海、湖沼、島などについての詳細な地誌。特にローマの支配圏についての記述は精緻である。日本翻訳出版文化賞受賞作。
 
プリニウスの博物誌〈第7巻~第11巻〉

プリニウスの博物誌〈第7巻~第11巻〉

『プリニウスの博物誌 2(第7巻〜第11巻) 縮刷版』プリニウス/雄山閣/6510円)
「第7巻」―重要な手紙4通や同時に口述したカエサルの精神力、ポンペイウスやカトーの業績、不幸な晩年を送ったアウグストゥスの運命など、数々のエピソードをまじえながら“人間”そのものを探求した巻。出産、天才、偉人、運命、寿命、死について、また文字や武器、時計の発達、ひげそりの風習などの克明な記述から当時の生活が浮び上がってくる。「第8〜11巻」―陸棲動物、水棲動物、鳥類、昆虫、人間の体の構造と器官について詳細に記している、特に人間と関係の深いゾウ、ライオン、イルカ、イヌ、ミツバチなどの記述は微細で、当時の動物の扱い方、考え方がわかる。またガチョウの肝などのぜいたくな食物、カタツムリやウナギの養殖、染料をとるムラサキ貝、真珠とそれにまつわる話などは今日でも興味深い。日本翻訳出版文化賞受賞作。
 
写真集 アルメニア共和国の建築と風土;Out of the Frame

写真集 アルメニア共和国の建築と風土;Out of the Frame

『アルメニア共和国の建築と風土』(篠野志郎/写真・文/彩流社/2940円)
ロシアからペルシャ湾への南北の軸、アジアから地中海への東西の軸、「文明の十字路」に育まれたもう一つのキリスト教アルメニアに遺る中世のキリスト教建築に内包された時を越えて静まり返る信仰の空間を甦らせる。
 『磯崎新建築論集 1 散種されたモダニズム−「日本」という問題構制−』磯崎新/岩波書店/3780円)
日本の建築界はいかなる過程を経て、モダニズムを受容したのか。代表的な建築家たちの格闘の軌跡を分析することで、日本の近代建築の問題点を浮き上がらせるとともに、近代を相対化し、「日本的なもの」を乗り越える著者自身の建築に対する姿勢を明らかにする。21世紀の今日的視線から描き直す磯崎版「日本近代建築史」。
 
建築家、走る

建築家、走る

『建築家、走る』隈研吾/新潮社/1470円)
世界中から依頼が殺到する建築家、隈研吾。悩みつつも疾走する日々とは? 話題の歌舞伎座建て替えは、アメリカでの発見や東京での挫折、地方での本領発揮、怒濤のコンペ参加など紆余曲折を経ての集大成。ぐだぐだ悩みながら、ぐるぐる世界を回ってる――年始から6ヶ国を世界一周チケットで回り、地球のいたる所で打ち合わせを重ねる生活。自らを「競走馬」に喩え、挑戦し続ける建築家の生の姿がここにある。