『大崩壊「邪馬台国畿内説」』ほか

『大崩壊「邪馬台国畿内説」』安本美典/勉誠出版/2940円)
卑弥呼が魏からおくられたとされるホケノ山古墳出土の「画文帯神獣鏡」は、中国北方の魏系の鏡ではない。土器には、西暦年数に換算できるような確実な年代的指標はない。 数々の科学的・歴史的データを駆使し、「畿内説」の論拠を徹底的に検証する。
 
レニングラード封鎖: 飢餓と非情の都市1941-44

レニングラード封鎖: 飢餓と非情の都市1941-44

『レニングラード封鎖』(マイケル・ジョーンズ/白水社/3990円)
第二次世界大戦中、ヒトラーのドイツ軍に九〇〇日間包囲攻撃されたレニングラードでは、一〇〇万人の市民が犠牲になった。空襲や疫病による死者も多いが、餓死者は八〇万人と推定されている。なぜ大都市は包囲されたのか? なぜ食糧はたちまち底をついたのか? 包囲が始まるのは、ドイツ侵攻開始から三ヵ月後の一九四一年九月上旬。本書は、攻撃側のマンシュタインらドイツ軍、防衛側のスターリンやジダーノフらソヴィエト当局、そして数多くの一般市民の視点から、時系列に沿って展開する。とりわけ市内の状況が最も絶望的だった、四一年十二月中旬から四二年二月中旬までの三ヵ月間について詳述される。その間、パンの配給は滞り、肉やその他の食品は闇市場でしか手に入らなかった。市民は飢え、壁紙の裏の膠を煮出して飲み、革ベルトを小さく切って煮て食べた。電気、水道、暖房はすでに停まっていた。市内で大量の餓死が始まる。さらに疫病が蔓延し、墓地に運びきれない死体があふれる。人心の荒廃と飢餓はカニバリズムを生み、凄惨な証言に言葉を失う。包囲下の極限状態で生と死を分けたのは何か? それは、生きる希望を持ち続けること、守るべき者(家族、子供、友人)をもっていたことだったと、新史料や生存者たちへの取材によって明らかとなる。
 
邪悪な植物―リンカーンの母殺し!植物のさまざまな蛮行

邪悪な植物―リンカーンの母殺し!植物のさまざまな蛮行

『邪惡な植物』(エイミー・スチュワート/朝日出版社/1890円)
ネズミを丸呑み、人まで殺し、戦争さえも引き起こす。本当は怖い“邪悪な植物”を、驚きの事件や隠れた史実、美しいイラストとともに解説。植物界の罪な側面に震える一冊! 毒殺や矢毒に使われてきた草木や、裁判に使われてきた猛毒の実。ソクラテスを殺したドクニンジン、魔女狩りを引き起こした麦角。うっかりバーベキューの串に使っただけで死者を出した枝もある。ペットにとってはキケンなもの、とにかく発火しやすいもの、なかにはマンゴーやチューリップ、トウモロコシなど、一見「どこが邪悪なの?」というものも。園芸家・ガーデニング好きも必見! さあ、あなたはどの植物がいちばん怖い?

 

時刻表でたどる新幹線発達史 (キャンブックス)

時刻表でたどる新幹線発達史 (キャンブックス)

『時刻表でたどる新幹線発達史』(寺本光照/JTBパブリッシング/1995円)
新幹線は青森から鹿児島までがつながり、名実ともに日本の大動脈として機能している。しかしここに至るまではそれぞれに歴史があり、もちろん順風満帆ではなかった。それらひとつひとつの歴史のトピックを時刻表という最大の資料とともに検証しながら紐解いていく。また本書では新大阪駅の建設過程や新幹線唯一の未成線となってしまった成田新幹線の話題、最近の新幹線における並行在来線の処遇など、各種のコラムも織り交ぜながら展開していく。本書の著者・寺本光照氏は弊社キャンブックスでは初の単独著書となり、本人のこだわりや豊富な知識、資料に裏打ちされた正確な文章の展開など、個性を十二分に発揮してまとめあげている。
 
加賀乙彦 自伝

加賀乙彦 自伝

『加賀乙彦自伝』加賀乙彦/ホーム社/2100円)
小説家・精神科医の二つの人生を生きた、著者初の語り下ろし自伝。2・26事件の記憶、陸軍幼年学校時代の思い出から大河小説『永遠の都』『雲の都』の完結まで、80余年に及ぶ自らの人生を知られざる様々なエピソードも交えて生き生きと描く、語り下ろし自伝。