『姿三四郎』(岡本喜八)

1977年。岡本喜八姿三四郎の役を三浦友和がやる。黒澤明の作品にあるところとないところがあって、これも田中邦衛の無駄遣い映画なんだけど、「続」も一緒にやるとは思わなかったよ。仲代達矢の矢野正五郎、凛としていて格好いいし、中村敦夫の檜垣源之助、かなり不気味でいい感じだし、他の役者も頑張ってて、黒澤明の映画とはまた違った面白さがあっていいです。この当時の映画状況よく知らないんだけど、三浦友和ってアイドルタレントだったんですかね。棒か大根かと思ってたけど、素朴で実直な姿三四郎の味が出ててけっこう好感持てた。しかし佐藤優、『ブルークリスマス』(1978年)のヒューマノイドの曲もそうだけど、チャラい映画音楽作らせたら日本一だね。素人のような玄人ぶり。ムードあるシーンではそれに合った音楽作るし。岡本喜八の無駄設定としては、村井半助の娘・乙美(秋吉久美子)が子爵の落としだね(隠し子)だというのがあるんだけど、姉のキャラ立てが昨今のお嬢様設定そのまんまなのでのけぞった。姿三四郎にフラれて、一人海岸で笛吹くシーンは、アニメで絶対既視感あるよ。ていうか、このネタ知ってたら絶対アニメでやってみたくなるよ。
黒澤明姿三四郎』、神社でお祈りをしている小夜(轟夕起子)さんに黒澤明「此の映画がとてもよい映画になるように祈ってください」と演技指導、でも映画の中では矢野正五郎(大河内伝次郎)「姿、あの美しさは一体どこから出てきてるか分かるか…祈るということの中に、己を捨てきっている」えー!?
岡本喜八の『姿三四郎』だと、乙美(秋吉久美子)さん、「父が勝ちますように、三四郎が負けますように」って、声にして祈ってるんだよなー。黒澤明と比較すると、岡本喜八の『姿三四郎』いろいろ面白い。
(DVD未発売)