『生きてゐる孫六』(木下惠介)

1943年。先祖代々の因習に捕われて鍬を入れることが出来ない小名木原(浜松・三方原の一部?)に、「鍬の力は国の力」ということで食糧増産のための開墾が行われる。小名木家の当主の病状を見た軍医と娘が結婚して、小名木家の召使の息子と鍛冶屋の娘が結婚する。若い力がいろいろ感じられる、最後は少し強引なハッピーエンド映画だった。しかし全体に画面暗すぎて、当時の屋外ロケ大変そうだなぁ、と思ってしまう。実際にこれ、浜松で撮ったんですかね。あと「初代関の孫六」という名称が、刀の名前としては少し謎すぎるけど、剣はこうやって見て、こういう風にかまえる、とか、村の鍛冶屋の爺さんが妙に詳しいのが興味深かった。しかし木下惠介、監督2作目にしてこんな映画を撮りやがるですか。冒頭の戦場の合戦なんて、最近の映画じゃ見られないぐらい馬見られるし、軍事演習とか最後の開墾シーンとか、人力ものすごく使ってるし、室内のカメラの動かし方もすごい楽しい。召使の奥さんから、その旦那の襖張りをしている場面なんて、こんなとこワンシーンで撮るか、みたいな不思議感。いったいどうやったらこのセンスは身につけられるものなのか、大勢の人をさばけるのか、本当に謎が多いです。

木下惠介 DVD-BOX 第1集

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