映画の感想

『アウトレイジ』(ウディ・アレン)

2010。会長と組があって、その下の末端組織のヤクザに北野武(大友組の親分)がいて、会長のたくらみで順番にどんどん殺される。ヤクザの抗争をVシネマっぽく、というより、外人の考えるヤクザ映画っぽく仕上げたなかなかの佳作。キタノブルーすばらしいし…

『セプテンバー』(ウディ・アレン)

1987。鬱アレンというか、ベルイマンっぽいアレンの作品の中ではまぁ、『インテリア』と並んで見ておいたほうがいい作品ですかね。家を売ろうとするヒロイン(ミア・ファロー)と、その恋人の作家に恋してしまう友人、それにヒロインの母とその愛人、のほぼ…

『スコルピオンの恋まじない』(ウディ・アレン)

2001。時代は1940年。保険会社の調査員で凄腕の主人公(ウディ・アレン)は新しい女子社員(ヘレン・ハント)とは犬猿の仲。ある日マジックの余興で催眠術にかけられた主人公は、犯人命じるまま宝石泥棒をおこない、またヒロインの違う面などを見ることにな…

『誘惑のアフロディーテ』(ウディ・アレン)

1996。スポーツ新聞の記者(主人公)と、画廊を持ちたいと思っている妻は、養子をもらうが、主人公はその母親が知りたくて、それに近づいているうちに、みたいな話。ギリシア悲劇のコロス(歌う人)がときどき出てきてたまげるけど、ちょっと信じられない、…

『夫たち、妻たち』(ウディ・アレン)

1992。作家で大学の授業を教えている主人公は、友人夫婦の別れ話を聞かされる。メイン登場人物の4人がいろいろな人物とつきあって、結局友人夫婦は元通りの仲になり、主人公は離婚する。人物関係がややこしすぎてちょっと要約するととても長くなりすぎるよ…

『大学の山賊たち』(岡本喜八)

1960。東宝山岳部部長・岡本喜八監督による山岳映画。冒頭の「終」ってツカミがすごすぎる。デパートの5人娘と山男5人と社長・山荘の女主人・召使がいるところに、南国の皇太子のフリをしたギャング二人組がやってきて、女主人の幽霊とかも出てくる。雪崩…

『暗黒街の対決』(岡本喜八)

1960。暗黒街シリーズ2作目。1960年の正月映画だったらしい。三船敏郎と鶴田浩二という、あり得ないような組み合わせ。対立するボスがいる地方都市にやってきた、汚職刑事の役が三船敏郎で、妻と仲間を殺されたのが鶴田浩二。銃撃戦とかもあり得ないぐらい…

『助太刀屋助六』(岡本喜八)

2001。敵討ちの助太刀業で金を貯めた助六が、故郷に帰って父親が敵討ちに会い、その位牌の助太刀、ということで反敵をする。岡本喜八の遺作ということになるんだろうけど、どうもあまり面白くないですな。脚本に映画が負けてる岡本喜八の映画って、これがは…

『近頃なぜかチャールストン』(岡本喜八)

1981。戦後36年、戦争体験者は老人になり、「ヤマタイ国」の○○大臣を名乗る。そこに独立不良少年が紛れ込んで、土地の資産や保険金も絡み、ヤマタイ国の無条件降伏の日が迫る。事件を追う部長刑事の退職の日も迫る。地震と爆弾もある(予算面で少しカット)…

『私の中のもうひとりの私』(ウディ・アレン)

1989。50歳を迎えた大学の哲学部部長をつとめる主人公は、小説を書こうと思ってアパートの一室を借りる。隣が精神分析医で、その話が漏れ聞こえるのに、つい耳を傾ける主人公。過去の行動や、人にどう見られているかについて、新しい発見と絶望を感じて、み…

『007 カジノロワイヤル』(ジョン・ヒューストン他)

1967。ル・シフルが使い込みすぎた金をカジノで取り返すためジェイムズ・ボンドと勝負する、という部分だけがかろうじて原作に忠実なパロディ映画というか、スパイ映画のメタ映画という感じの話。まあこの時代には、007に限らず、どこまで真面目に作っている…

『肉弾』(岡本喜八)

1968。前年の『日本のいちばん長い日』を意識して作ったようなATG映画。前半は少しセットとかでも金あったかもしれないけど、後半は砂浜(ロケ地想定すると遠州・中田島砂丘ですかね)と、海に浮かぶ変な特攻兵器魚雷だけになって、作るの大変だったろう…

『ああ爆弾』(岡本喜八)

1964。3年ぶりに出所した親分の大名は、子分だった矢東彌三郎に組を乗っ取られ、株式会社にされていた。市会議員に立候補した矢東に、万年筆爆弾やゴルフ爆弾で復讐しようとするが…。『江分利満氏の優雅な生活』の次に作った映画がこれってのがすごいね。お…

『どぶ鼠作戦』(岡本喜八)

1962。独立愚連隊シリーズっていうのかな、それの監督3作目。中国軍の捕虜になった参謀のえらい人の息子に、懐剣渡して「死ね」と言うためだけのために、軍隊の選りすぐり(のクズ)が5人選ばれて敵中横断300里(中国は日本の約1/8だけど)。黒澤明『隠し…

『のぼうの城』(犬童一心+樋口真嗣)

2012。2万の豊臣秀吉(石田光成)の軍勢に、農民あわせて2千で戦って落ちることのなかった忍城の城代家老・成田長親とその家臣たちの戦いぶりを描く。ていうかこれ、野村萬斎の田楽舞見せるための映画ですよね? いくらなんでも水攻めはこんな川が決壊した風…

『月給泥棒』(岡本喜八)

1962。カメラ会社に勤める主人公・吉本文隆(宝田明)は出世願望の強いサラリーマン。ゴマすりとコネで出世をはかろうとする折に、外国からカメラの買い付け人・ダゴンがやってきて、という、何となく東京オリンピック前後の高度成長時代・外貨獲得時代のサ…

『ある日わたしは』(岡本喜八)

1959。岡本喜八監督の、石坂洋次郎を原作にしたぬるい映画。岡山県人会で知り合った医大生(宝田明)と、洋裁学校のヒロイン(上原美佐)が恋愛する。医大生のお父さん(上原謙)と、ヒロインのお母さん(三宅邦子)が昔東京で何かあった、というのがちょっ…

『ウディ・アレンの夢と犯罪』(ウディ・アレン)

2007。ウディ・アレンほとんど映画に関係ないですね。レストランの店主の息子二人がヨットを買って、弟が博打で首が回らなくなったので、金持ちの伯父に資金援助を頼む。伯父は自分に不利な男を殺すことを条件に承諾する。二人は殺人に成功するが、弟はその…

『さよなら、さよならハリウッド』(ウディ・アレン)

2002。 別れた妻がプロデューサーになって、600万ドルの映画を作ることになった映画監督(ウディ・アレンの自作自演)。ところが撮影に入ろうとする日に、目が突然神経症で見えなくなってしまう。それでも映画を撮らなくてはいけないというハメに陥った彼を…

『セレブリティ』(ウディ・アレン)

1998。シナリオと小説を書きながら、旅行やスターの記事を書いている主人公が、女性教師と離婚していろいろな女とつきあうけど、なかなかうまくいかなくて、スーパースター(ディカプリオですよ! 本物!)に振り回されたり、女性編集者に原稿捨てられたりし…

『ラジオ・デイズ』(ウディ・アレン)

1987。ラジオが一番の娯楽だった時代の、第二次大戦前までのアメリカ的に貧しい大家族を描く。ノスタルジー映画の極みなので、日本人にはあの曲を聞いたらこんな思い出がある、という部分までうまく伝わらないかな。多分当時ラジオを聞いていた人(アメリカ…

『ハンナとその姉妹』(ウディ・アレン)

1986。女優として成功している長女ハンナと、伸び悩んでいる次女ホリー、芸術家と同棲生活をする三女リー、で、三女がアンナの夫と浮気をする。ハンナの元夫で、子供ができなかったのがウディ・アレン。ウディ・アレンは一時の難聴から脳腫瘍という妄想を膨…

『マンハッタン殺人ミステリー』(ウディ・アレン)

1993。隣人夫婦の妻の死に疑問を抱いたダイアン・キートンが、しぶしぶのウディ・アレンを説得したり、証拠を調べたりして、死んだと思っていた人が生きてたり、犯行の動機とかも明らかになる。ちょっとややこしすぎて、真相がどうなったのかよくわからない…

『メリンダとメリンダ』(ウディ・アレン)

2004。夜のビストロ、4人の男女が人生について語っている。悲劇作者と喜劇作者が同じ冒頭からはじまる二つの話を作る。ささやかなホームパーティに、メリンダという女性が現れて、うまくいっていなかった夫婦の関係がさらにこじれる、という話を、どう展開…

『僕のニューヨークライフ』(ウディ・アレン)

2003。そろそろ売れはじめたコント作家の主人公(21歳)に、人生の師というか思想を教えた先輩コント作家としてウディ・アレンが共演する。主人公は真面目な小説を書こうとしていて(いつもこのパターンですね)、同棲している相手に体重を気にしている浮気…

『ウディ・アレンの重罪と軽罪』(ウディ・アレン)

1989。浮気相手の女性を殺してしまう、世間的には知られている眼科医と、売れない記録映画を作って妻と離婚寸前の主人公(ウディ・アレン)の話がほぼ平行して語られる。眼科医は犯罪が知られることなく罪の意識だけが残り、ウディ・アレンは結婚式のパーテ…

『座頭市』(北野武)

2003。北野武版座頭市。見終わった途端馬鹿野郎と言って席を立つか、茫然自失となるかしかない、オリジナルとの違いぶりがすごいですね。まあ、賭場とか浪人(用心棒)との戦いとか、座頭市がやるべきことはちゃんとやってるんですが、勝新太郎・大映映画の…

『ミッドナイト・イン・パリ』(ウディ・アレン)

2012。どうでもいい脚本を書いてそれなりの売れっ子の主人公は、パリで小説を書くことを決意するが、現実家で資産家の娘の婚約者は、ノスタルジー趣味の主人公とはうまく行っていない。主人公の友人であるディレッタントっぽいことを言うソルボンヌ大学の講…

『屋根裏部屋のマリアたち』(フィリップ・ル・ゲイ)

2010/2012。ドゴール政権時代のフランス。富裕階級の資産管理・株取引を商売にしているブルジョアの社長は、母の死後引退する形になった召使(メイド)の代わりに、新しくスペイン人の若いメイドを雇う。彼女と彼女を通して見る世界は、今までの彼の生活を徐…

『赤毛』(岡本喜八)

1969。幕末、中山道・甲州街道を進んだ赤報隊の先駆けとして自分の村に行った百姓(三船敏郎)がかっこよく暴れて死ぬ。岡本喜八監督の北支戦線舞台にした戦争映画と基本的に変わりないですね。ちょっと火薬の量は少ないけど、八路軍なみに人を使って「ええ…