『丹下左膳余話 百萬両の壺』(山中貞雄)

1935年。百万両の宝のあり場所が隠されているという「こけ猿」の壷(マクガフィン)を巡って、関係者がやりとりをする、とか、丹下左膳が血の雨を降らす、とかそんなの全然なくて、金魚釣ったり的に矢を当てたり、的屋(っていうのかな)の女主人が三味線を弾いて歌歌ったりする呑気な話だった。大名の弟は養子に行って道場主なんだけど、壷の秘密を知って探そうという口実に的屋の女主人と会ったり、楽しく遊ぶ。父親を殺されて(ここらへんちょっと無理があります)、丹下左膳が面倒を見ることになった子供がいて、ちょっと泣かせるけど全然殺伐としてこない。えーと、招き猫の置物を壊したり、餅を焦がしたり、とか? 思っていたほど楽しくはないけど、けっこう楽しめた。日本映画の最高傑作の一つとか評判聞いてたんで、それほどでもないんじゃないかな、と期待外れたところはある。舞台はほとんどセットで、カメラも固定で、限られた技術の中で頑張ってはいるですね。映画的空間が非日常的要素の強い頃の映画というか。

丹下左膳餘話 百萬両の壺 [DVD]

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